「巨匠」がたくさんいて困る

am/pmで買い物しているときに見かけたのだが、でかいポスターがあって、「巨匠鈴木なんとか監修」という文句がシチューかカレーか知らないがそんな写真をバックに書かれていた。きっと新しい取れたてキッチンかなんかのメニューだろうか。いちどすごくしょっぱいパスタを食わされて(しかも蓋が少し割れていて、プラスチックまで胃に入れるところだった)、それ以来、am/pmの冷凍食品はどんなメニューが出ようが一切関心ないのだが、あれほどでかいポスターだと目にとまる。
たかだか都心で煮込み料理を売ってるような人物を巨匠呼ばわりするのは、いい加減辞めにしたらどうかと思う。「巨匠」という言葉までが安っぽくなってしまうではないか。
 ※ちなみにam/pmのHPでその巨匠とやらの名前を調べて検索してみたら、1ページ目には出てこなかったぞ。


この「巨匠」という言葉の氾濫が目立つのが料理の世界で、というか料理の世界以外ではそんなに乱発されてはいないはずだ。料理の世界とはいっても、ほんとにその中にいる料理人たちではなく、あくまで食う方の消費者の側だけなのだが。これって「チューボーですよ」の影響なんだろうか。
とにかく繰り返しになるが、シチューだのタンメンだのを発明し広めたのなら「巨匠」と読んでもまあ許せる範囲内かと思うが、たかがシチューだのタンメンだのを人より美味しく作れるだけの人間を「巨匠」などと呼ばないでくれ


しかし、たかが食い物を旨く作れるだけの人間の崇められること。人気ラーメン店とか客が修行してるみたいな雰囲気だもんな。ここには、およそ生活に必要なものは手に入れてしまった人間の、あくなき退屈しのぎ衝動が見えて、それはそれで仕方のないことだが、とびきり旨いものを外食で食うより、そこそこでもいいから自分で作るほうが楽しいのにね、間違いなく。いざというとき役に立つ事も多いし。